「大学職員になるためには、何か資格は必要なの?」
「大学職員として働くときに役に立つ、おすすめの資格はある?」
「大学職員になる人はどんな学歴や職歴の人が多いの?」
大学職員を目指す人の中には、このような疑問を持っている人も多いのではないでしょうか。
大学職員の仕事内容や経歴について知ることのできる機会は少ないため、気になりますよね。
結論としては、大学職員になるために絶対に必要な資格はありません。また、英検1級や税理士といった高難易度の資格でない限り、採用試験の合否に影響することはほとんどありません。
大学職員として働く上で必須ではなくとも、あれば役に立つ資格には以下のようなものがあります。
語学系の資格
- TOEIC600点
- 英検2級
- 中国語検定3級
会計系の資格
- 日商簿記検定3級
- 日商簿記検定2級
IT系の資格
- マイクロソフト オフィス スペシャリスト(MOS)Excel エキスパート
- ITパスポート
その他の資格
- 社会保険労務士
- 秘書検定2級
また、若手国立大学職員の学歴や職歴は以下のようになっています。
ほとんどが大卒以上となっています。ただし、国公立大学の職員採用試験は学歴に関係なく受験することができます。
以下のような業種からの転職者が多いです。
- 公務員
- 販売業
- 情報通信業
- 金融業
この記事では、元国立大学職員である筆者が、大学職員に就職、転職する上で役に立つ資格と、その資格が実務にどのように生かされるのかを解説します。
また、大学職員になる人の学歴や職歴についても、国立大学の若手職員へのアンケート結果をもとに詳しく紹介します。
この記事を最後まで読んでいただくことで、以下の2つのことを理解することができます。
- 大学職員として活躍するためにはどのような資格があればよいのか
- 大学職員になる人はどのような学歴や職歴の人が多いのか
大学職員を就職先・転職先として考えている人は、ぜひ最後までじっくりと読んでみてくださいね。
1. 大学職員になるために絶対に必要な資格はない
大学職員になるために、絶対に必要な資格はありません。また、国公立大学の場合は学歴や職歴も問われません。
大学教員であれば、ほとんどの場合「博士号」もしくは「修士号」が必要になります。つまり、大学院まで進学しなければなりません。
しかし国公立大学職員の場合は、極端に言えば中卒でフリーターをしている人でも、採用試験に合格さえすれば職員になることができます。
なお、私立大学職員の場合は、ほとんどの大学で大卒の学歴要件がありますので注意してください。
採用試験においても、英検1級や税理士といった高難易度の資格でない限り、合否に影響することはほとんどありません。私の同期が人事をしていましたが、彼女は「資格欄は参考に見る程度で、合否は協調性と人柄で決まるところが大きい」と言っていました。
ただし、入職後に希望する部署がある場合は、関連する資格を取っておいたほうが希望の部署に配属される確率が上がります。
例えば、留学生の支援をしたい場合はTOEICや英検を、財務や経理の仕事をしたい場合は簿記の資格を取得しておくと良いでしょう。
2. 大学職員への就職・転職で役に立つ資格は?
第1章で「大学職員になるために絶対に必要な資格はないこと」「高難易度の資格でない限り試験の合否に影響することはほとんどないこと」を紹介しました。
しかし、大学職員として働く上で必須ではなくとも、取得しておくと役に立つ資格はたくさんあります。
この章では、そのような「取得しておくと役に立つ資格」を語学系・会計系・IT計・その他の4つに分けて紹介します。また参考に、「役に立ちそうだけどあまり役に立たない資格」についても紹介します。
1-1. 語学系の資格
TOEIC600点
難しさ
役立ち度
語学系の資格で最もメジャーなのがTOEICではないでしょうか。
上場企業が一般社員に求めるTOEICスコアの平均が600点だと言われています。国際関係の部署や留学生の支援部署など、英語を業務で頻繁に使用する部署への配属を希望するならば、TOEIC600点以上は持っておいた方が良いでしょう。
それらの部署への配属を希望しないならば、TOEICで高得点を取ることは必須ではありません。筆者も採用時はTOEIC未受験、32歳で受験したときには580点でした。
ただし、今後の大学業界では優秀な外国人教員や留学生の確保が重要な課題となってくることが予想されるため、高得点を取っておくと将来的に間違いなく役に立ちます。
英検2級
難しさ
役立ち度
TOEIC600点と英検2級は、だいたい同じくらいの難易度と言われています。
TOEICは最も一般的であるL&Rテストがリスニング及びリーディングのみの試験となっていますが、英検2級はさらにライティング及びスピーキングの能力が求められます。
英語力をアピールするならばどちらかを取得しておけばOKですので、問題の内容や出題形式などの好みに合わせて受験しましょう。
中国語検定3級
難しさ
役立ち度
英語以外で語学系の資格を取るのであれば、中国語検定がおすすめです。
日本学生支援機構が実施した令和2年度調査によると、外国人留学生279,597人のうち、中国からの留学生は121,845人と40%以上を占めており、ダントツのトップです。
にもかかわらず中国語を扱える大学職員は少ないため、取得しておくと学生対応などの際に役に立つでしょう。
中国語検定3級は「飲食店や小売店での接客対応など、ある程度状況が推察できる場面でのコミュニケーションは可能なレベル」とされています。合格率は40%と高いので、「英語はすでにある程度できるので、他の言語も習得したい」という人はチャレンジしてみましょう。
1-2. 会計系の資格
日商簿記検定3級
難しさ
役立ち度
大学の会計系の部署で働くならば、簿記3級の知識はとても役に立ちます。
最近の会計システムは良くできているので、簿記の知識がなくても仕事を進めること自体はできます。しかし、例えば上司や外部の会計監査人などにあなたの切った仕訳の意味を説明するとき、簿記の知識は必要ですよね?
簿記3級は難易度もそれほど高くなく2ヶ月程度勉強すれば十分合格が狙えます。大学職員は2〜3年ごとに異動があり、いつ会計系の部署に配属になるかわからないため、持っておいて損はない資格です。
日商簿記検定2級
難しさ
役立ち度
簿記3級を取得できたなら、簿記2級に挑戦してみる価値は十分にあります。
リース会計や資産除去債務など簿記2級の主要な論点を理解しておけば、大学の会計系部署でエースとして活躍できるでしょう。
ただし、簿記2級の出題数の半分を占める工業簿記及び原価計算については製造業向けの知識となるため、大学職員の実務で使うことはありません。そのため、簿記の勉強が好きでなければ、使わない知識を勉強することを辛く感じてしまうかもしれません。
簿記の資格を取りたい方、勉強してみたい方はこちらにおすすめの通信講座を紹介しています。こちらの記事を参考に簿記の通信講座を選んでみてはいかがでしょうか。
1-3. IT系の資格
マイクロソフト オフィス スペシャリスト(MOS)Excel エキスパート
難しさ
役立ち度
マイクロソフト オフィス スペシャリスト(MOS)とは、ExcelやWordといったマイクロソフト オフィス製品の利用スキルを証明するための資格です。
大学職員の仕事でマイクロソフト オフィス製品を使わない日はなく、どの部署で働くときにも必ず役に立ちます。
Word・Excel・Accessについては一般レベルの上に上級レベル(エキスパート)があり、おすすめはExcelの上級レベルです。ピボットテーブルの作成や簡単なマクロの作成など、少し複雑な要素もありますが、実務で使いこなせれば大幅な業務効率化が期待できます。
デメリットとしては受験料が高く、一般価格が12,980円(R4.2現在)となっています。すでにExcelを上級レベルで使いこなせるならば、わざわざ受験する必要性は薄いかもしれません。
ITパスポート
難しさ
役立ち度
ITパスポート試験に合格することにより、ITに関する基礎知識があることを証明できます。
MOSとの違いは以下のとおりです。
- マイクロソフト社が認定する民間資格
- オフィスソフトを使いこなすスキルを証明
- 実技試験のみを実施
- 経済産業省が管轄する国家資格
- ITに関する基礎的な知識を持つことを証明
- 4肢択一式のペーパーテストのみで、実技試験はなし
実務での役立ち度についてはMOSに軍配が上がりますが、ITに関する基礎知識が確実に身につくため、取っておいて損のない資格です。難易度も高くなく、大学業界だけでなく様々な業界で評価されますので、特に学生の方にはおすすめしたい資格です。
1-4. その他の資格
社会保険労務士
難しさ
役立ち度
社会保険労務士の資格を取っておけば、就業規則の制定や給与計算といった人事系の業務を行う部署で働くときにとても役立ちます。
また、社会保険労務士の資格は大学だけでなくあらゆる民間企業の人事系部署で役に立つ資格ですので、将来的に大学職員から転職することも容易です。
ただし、社会保険労務士試験の合格率は7%前後となっており、合格には1000時間程度の勉強が必要だと言われています。大学職員であれば残業は多くなく自分の時間を確保しやすいため、大学職員になってからコツコツ勉強して取得するのがおすすめです。
秘書検定2級 難しさ2 役立ち度3
難しさ
役立ち度
秘書検定と聞くと秘書を目指す人が受ける資格だと思われがちですが、社会人として必要な一般常識を身に着けるために受験する人も多いのが特徴です。
大学職員は学生だけではなく、マナーにうるさい教員や保護者を相手にすることもある職業ですので、一般常識は身に着けておいて損はありません。
約1か月の勉強で十分合格ラインに届き、合格率も50%以上ある試験のため、学生や若手社会人の方におすすめしたい資格です。
1-5. 【参考】役に立ちそうだけどあまり役に立たない資格
日商簿記検定1級
難しさ
役立ち度
国立・公立・私立を問わず、大学は企業会計とは少し異なる会計基準を採用しているため、簿記1級の主要な論点である「税効果会計」や「社債の発行」などが大学職員の実務で使われることはほとんどありません。
また、簿記2級と同様に出題数の半分を占める工業簿記及び原価計算についても実務で使うことはありません。
簿記1級の合格率は10%程度と試験の難易度が高いこともあり、コストパフォーマンスを考えると、あまりおすすめできる資格ではありません。将来的に会計系の業種に転職することも考えるなら、税理士試験の勉強をした方がいいでしょう。
キャリアコンサルタント
難しさ
役立ち度
一見、学生の就職支援のために役立ちそうですが、就職課では相談員として外部から経験豊富な人材を招いていることがほとんどです。
相談員として仕事をする上では、資格の有無よりも実務経験や企業とのコネクションが重要です。あなたが人材系の企業でキャリアコンサルタントの資格を生かして仕事をしていたというなら、就職課でその経験を生かすことができるかもしれません。
しかし、そうでなければ持っていてもあまり役に立つことはないでしょう。
3. 大学職員へ就職・転職する人の学歴は?
ここまで、大学職員にとって役に立つ資格はあっても、必須の資格はないことを解説してきました。
資格の必要性の有無についてわかったところで、大学職員になる人はどのような学歴なのかも気になりますよね。
学歴については、基本的には大卒以上の人が大半です。以下で詳しく説明しますね。
3-1. 令和元年度に国立大学職員になった人の学歴は?
東海・北陸地区国立大学法人等職員採用試験実施委員会が発行している職員業務案内2021に、令和元年度採用者の学歴について掲載されていたので、見ていきましょう。
令和元年度に東海・北陸地区国立大学法人等の職員として採用された64名(採用総数100名)の学歴の内訳は、以下のようになっています。
※東海・北陸地区国立大学法人等職員業務案内2021のデータを加工して作成
国立大学・大学院卒業者が半分以上を占め、次点が私立大学・大学院卒業者、3番目が公立大学・大学院卒業者となっており、短大卒以下の学歴の人はほとんどいないことがわかります。
個人的には、このグラフをみて驚きました。なぜなら私が勤務していた地方国立大学では国立大学卒の人は半分くらいで、残りは私立大学卒や専門卒、少数ですが高卒の人もいたからです。
このアンケートの有効解答数は64人と少ないので、たまたまこの年度の採用者の学歴に偏りがあった可能性もあります。なお、以下で説明するように、国公立大学の受験資格に学歴の要件はありません。
3-2. 国公立大学職員になるには学歴は関係なし
国立大学職員になるための最も一般的な手段である「国立大学法人等職員統一採用試験」の受験資格は、年度末年齢で30歳以下という条件のみです。「大卒以上」「卒業から〇年以内」「社会人経験〇年以上」といった制限は一切ありません。
また、公立大学でも職員採用試験の受験資格に学歴の要件はありません。
そのため、国公立大学の採用における筆記試験は「大学卒業程度」となっていますが、大卒ではない人でも受験することができます。
なお、試験問題は教養試験のみであるため高校までの知識で十分に解くことが可能ですが、数的処理など一部の問題は別途対策が必要となります。
3-3. 私立大学は大卒が要件であることがほとんど
一方、私立大学は大卒を職員採用試験の受験資格としているところがほとんどです。
私立大学職員試験は筆記試験がないか、あってもSPI程度であることが多いため、学歴の要件を設けることで志願者の学力を確保しておく狙いがあるのでしょう。
一方、地方の私立大学であれば、地域に大卒者が少ないという事情もあり、高卒でも受験資格がある大学はあります。
そのような大学の求人は転職サイトではなく大学のホームページやハローワークに出ることも多いため、高卒で私立大学職員になりたい人はチェックしておきましょう。
4. 大学職員へ転職する人の職歴は?
学歴についてわかったところで、職歴についても解説します。特に、公務員・販売業・情報通信業・金融業から国立大学職員への転職を考えている人は、この章をじっくり読んでみてください。
埼玉大学の職員採用ページでは、若手職員48名に実施したアンケート結果が公表されています。その中で、前職についてのアンケート結果が興味深かったため、紹介します。
埼玉大学の若手職員48名の職歴は、以下のようになっています。
※埼玉大学若手職員アンケートのデータを加工して作成
まず、前職あり、つまり転職者は48人中15人でした。私が勤務していた国立大学では採用者の7割程度が転職者だった年もあるため、この結果は少し意外でした。
また、前職の内訳は公務員3人、販売業3人、情報通信業2人、金融業2人、その他5人となっています。
その他を除く4つの業種については、私の経験でも大学職員への転職者が多い業種です。以下では、公務員、販売業、システムエンジニア、銀行員の4つの業種からの転職について、メリットとデメリットを解説していきます。
4-1. 公務員からの転職
公務員からの転職のメリットとデメリットは以下のとおりです。
- 仕事の進め方が近い
- 大学職員の仕事は、法律や学内規則で決められた手続きを踏むことを重視するため、何をするにも上司の決裁が必要になります。このような仕事の進め方は公務員とかなり近いため、違和感なく大学職員の仕事に慣れることができます。
- 同じ地域なら前職のコネを生かせるかも
- 補助金申請の手続きなどで大学と地方自治体とが連携することはよくあります。地方公務員から同じ地域の大学職員に転職した場合、前職のコネクションを生かしてスムーズに仕事を進められるかもしれません。
- 他業種での経験をアピールしにくい
- メリットで挙げた「仕事の進め方が近い」ことは、採用試験を受ける上ではデメリットになり得ます。例えば、営業職の経験がある人は営業で培ったコミュニケーション能力をアピールすることができますが、公務員の人は仕事の進め方が近いが故に、他業種で培った経験をアピールしにくくなります。
4-2. 販売業からの転職
販売業からの転職のメリットとデメリットは以下のとおりです。
- コミュニケーション能力の高さをアピールできる
- 大学職員は学生だけでなく、教員、保護者、地域住民、取引先業者など、さまざまな立場の人と関わる仕事です。販売業で培ったコミュニケーション能力の高さは評価されますし、実務でも役に立つはずです。
- マネジメント能力の高さをアピールできる
- 例えば店長としてアルバイトを統括する立場だったなら、採用試験ではマネジメント能力の高さをアピールできます。大学職員はマネジメント職経験のある人材が乏しいため、現場で重宝されるでしょう。
- 事務作業ばかりでやりがいが感じられない可能性がある
- 大学職員の仕事は「事務」なので、コミュニケーションが大事とはいえ、販売業よりは人と関わることは少ないです。人と関わることが楽しくて販売業をしていた人にとっては、大学職員はやりがいのない仕事だと感じてしまう可能性があります。
4-3. 情報通信業(SEなど)からの転職
情報通信業(SEなど)からの転職のメリットとデメリットは以下のとおりです。
- 業務効率化ができる
- 大学ではまだまだIT化や事務の効率化が進んでいないのが現状です。Excelで簡単なマクロが組めたり、Accessでデータの集計ができるだけでも実務では重宝される人材になることができます。
- 技術系職員としての応募も可能
- 国立大学では、システムの運用や実験のサポートを専門とする技術系職員を公募することがあります。うまく自分の専門分野とマッチするならば、事務系職員ではなく技術系職員として応募することもできます。
- PC設定などの雑務を押し付けられる可能性がある
- 大学職員にはいわゆる機械音痴・IT音痴の人も多いので、PC設定やインターネットの接続といった雑務を押し付けられる可能性があります。
4-4. 金融業(銀行員など)からの転職
金融業(銀行員など)からの転職のメリットとデメリットは以下のとおりです。
- コミュニケーション能力の高さを生かせる
- 前述したとおり、大学職員はコミュニケーション能力の高さが重要な仕事です。銀行員として得意先回りをした経験や窓口営業をした経験があれば、きっと大学職員の仕事でも生かすことができます。
- 細かい事務作業や会計業務に慣れている
- 大学職員はデータの集計や入力業務のような細かい事務作業を日常的に行っています。また、契約・予算・決算など、会計系の知識が生きる部署は予想以上に多いです。銀行員としての経験を生かすチャンスはたくさんあるでしょう。
- メガバンクやトップ地銀からの転職であれば、年収は下がる
- 一般に金融業界は高年収です。大学職員の年収は一部の有名私立大学を除いて世間の平均程度ですので、前職よりも年収が下がることは覚悟しなければいけません。
5. 大学職員を目指すための3STEP
どのような人が大学職員になっているのかがわかったところで、大学職員を目指すための3つのステップについて解説します。
大学職員を目指すときは、以下の3つのステップで進めましょう。
- 大学職員として一生やっていく覚悟を決める
- 志望する大学を絞り込む
- 自分に合った受験方法で受験する
【STEP1】大学職員として一生やっていく覚悟を決める
ハッキリ言って、大学職員の仕事はつぶしのきかない仕事です。理由は以下の3つです。
- PC作業や学内の調整業務が多く、特別なスキルが身につきにくい
- 通常2~3年で異動があるため、「スペシャリスト」にはなりにくい
- 管理職への昇進が遅いため、仕事でマネジメント能力を発揮する機会がない
大学職員の仕事は、パソコンを使ったルーティンワークや会議のスケジュール調整など、言ってしまえば「誰にでもできる仕事」が多いです。
また、経理などの専門性が高い部署に在籍したとしても、知識が身についたころに異動があるため、専門性を身に着けることができません。
さらに、転職の際に必要となることが多い「マネジメント経験」については、管理職への昇進が遅い(30代後半〜)大学職員では若いうちに経験することが難しいと言えます。
そのため、いったん大学職員としてのキャリアをスタートすると、他業種への転職や独立はとても困難です。
自分は将来どのようなキャリアを描きたいのか、大学職員という仕事は自分に合っているのかといったようなことを総合的に判断し、受験するかどうかを決めましょう。
ただし、第2章で触れたように、社会保険労務士や税理士などの専門的かつ高度な資格を持っていれば、大学職員からの転職も容易です。
【STEP2】志望する大学を絞り込む
一口に大学職員と言っても、大学には国立・公立・私立の3種類があり、職員の年収や働き方にもそれぞれ違いがあります。自分が国立・公立・私立のどの大学職員に向いているのかを判断したい人は、ぜひこちらの記事を読んでみてください。
国立及び公立大学については大学間で年収や働き方に大きな差はありません。そのため、「地元にあるから」などの理由で決めてしまってもOKです。
しかし、私立大学については大学の規模や定員充足率によって、年収や働き方に大きな差があります。
有名私立大学では40代で年収1,000万円、年間休日130日以上ということもありえますが、例えば地方の定員割れを起こしているような私立大学であれば、年収は国立大学以下、年間休日は100日以下ということもありえます。
そのため、特に私立大学を受験する場合は、年収や働き方が自分の希望に合っているのか、よくリサーチしてから志望するようにしましょう。
【STEP3】自分に合った受験方法で受験する
国立大学職員になるためには、以下の3つの方法があります。
- 「国立大学法人等職員統一採用試験」を受ける
- 各国立大学法人が行う「個別採用試験」を受ける
- 勤務する大学の「常勤職員登用試験」を受ける
①国立大学法人等職員統一採用試験については、筆記試験の勉強が必要になりますが、採用人数が最も多い試験です。
②個別採用試験については、①国立大学法人等職員統一採用試験に比べると採用人数は少ないですが、多くの大学で筆記試験は課されません。経歴や人物を重視した採用となります。
③常勤職員登用試験については、すでに非常勤職員として国立大学に勤務されている人が常勤職員の登用を目指して受験する試験です。
それぞれにメリット・デメリットがあり向いている人も異なるので、以下の記事を参考にして自分にはどの受験方法が合っているのか、確認してみてください。
私立大学職員及び公立大学職員については、基本的にはその大学が個別で行う採用試験を受験し、合格する必要があります。(非常勤職員からの登用を含む)
職員の募集は大学の公式ホームページやハローワークを通じて行われるほか、転職サイトや転職エージェントを通じて求人が出されることもあります。
特に、有名私立大学は転職エージェントの非公開求人のみで職員募集を行うケースもあるようです。
志望大学の公式ホームページをマメにチェックすることはもちろん、転職サイトや転職エージェントについても、忘れずに登録しておきましょう。
6. まとめ
大学職員として働く上で絶対に必要な資格はありません。あれば役に立つ資格には以下のようなものがあります。
語学系の資格
- TOEIC600点
- 英検2級
- 中国語検定3級
会計系の資格
- 日商簿記検定3級
- 日商簿記検定2級
IT系の資格
- マイクロソフト オフィス スペシャリスト(MOS)Excel エキスパート
- ITパスポート
その他の資格
- 社会保険労務士
- 秘書検定2級
若手大学職員はほとんどが大卒以上の学歴です。しかし、国公立大学職員の採用試験は学歴に関係なく受験することができます。私立大学職員については、ほとんどの大学で大卒以上を要件としています。ただし、地方の私立大学などではまれに高卒でも可とする大学もあります。
大学職員には転職組も一定数いますので、転職者だからといって浮くようなことはありません。転職者の前職は以下のようなものが多く、それぞれにメリット・デメリットがあります。
- 公務員
- 販売業
- 情報通信業
- 金融業
これらのことを理解し、大学職員を目指すときには、以下の3つのステップで進めましょう。
- 大学職員として一生やっていく覚悟を決める
- 志望する大学を絞り込む
- 自分に合った受験方法で受験する
この記事があなたの就職活動・転職活動の助けになれば、とても嬉しく思います。