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国立大学職員の出世コースを解説!40代で年収1000万円も可能!?

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「国立大学職員の出世コースはどうなっているのかな?」

「国立大学職員になりたいけれど、私立大学と違って年収1,000万円は難しいよね?」

 

国立大学職員への就職・転職を考えたとき、このような疑問が湧いてくるのではないでしょうか。

 

身近に国立大学職員がいる場合は実情を教えてもらえるかもしれませんが、そうでない場合はなかなか知る機会がありませんよね。

 

結論としては、国立大学職員には以下の3種類のキャリアがあり、それぞれ出世スピードや年収も異なります。

 

  1. プロパー職員
  2. 異動官職(大学)
  3. 異動官職(文科省)

 

そして、キャリアごとの出世スピードと生涯年収は以下のようになります。異動官職(文科省)であれば、40代で年収1,000万円に到達することも可能です。

異動官職(文科省)> 異動官職(大学)> プロパー職員

 

  • プロパー職員は、一般的にイメージされる大学職員のことです。採用された大学、あるいはその近隣の大学でキャリアを重ね、定年を迎えます。
  • 異動官職(大学)は、30代後半まではプロパー職員と同様に働き、40歳前後で他大学等(高専や独立行政法人を含む)の課長級となる職員のことです。その後2~3年ごとに管理職として複数の大学を異動します。
  • 異動官職(文科省)は、20代〜30代のうちに文科省に転籍し、40歳前後で他大学等(高専や独立行政法人を含む)の課長級となる職員のことです。50代で国立大学における職員のトップである事務局長級まで出世する人もいます。

 

この記事を最後まで読んでいただくことで、国立大学職員のキャリアの種類とそれぞれの出世スピード、さらに気になる年収についても、詳しく知ることができます。

 

国立大学職員を就職先として考えている方や国立大学職員の仕事に興味を持っている方は、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。

 

1. 国立大学職員のキャリアは3種類あり、出世スピードが違う

「国立大学職員」といえば、一般的に採用された大学で定年まで働くイメージがあるかと思います。

 

しかし、実は国立大学職員のキャリアはそれだけではありません。20代で文科省に転籍するケースや、40前後で全国の国立大学等を飛び回るケースもあるのです。

 

この章では、国立大学職員のキャリアの種類について詳しく解説していきます。

 

1-1. 国立大学の事務組織図

国立大学職員のキャリアを理解するために、まずは国立大学の事務組織のピラミッドと、どのような役職があるのかを解説します。

 

国立大学の事務組織図は、以下のようになっています。

トップから事務局長級、部長級、課長級・課長補佐級、係長級、主任級・係員級となっています。

 

通常、事務局長級は各国立大学に1人だけです。部長級は2人~15人程度で、大学の規模によって異なります。

 

事務局長「級」などとしているのは、各大学によって役職名が変わるからです。

事務局長級を「事務局長」ではなく「財務・総務担当理事」としている大学もありますし、係長級を「専門職員」や「チームリーダー」としている大学もあります。

 

1-2. 国立大学職員のキャリアは3種類ある

国立大学職員には、以下の3種類のキャリアがあります。

 

  1. プロパー職員
  2. 異動官職(大学)
  3. 異動官職(文科省)

 

プロパー職員

採用された大学、あるいはその近隣の大学でキャリアを重ね、定年を迎える職員のことです。一般的な大学職員のイメージはこれにあたると思います。

実際に、国立大学職員の90%以上はこのプロパー職員です。10年以上前は係長級で定年を迎える人も多かったのですが、近年は多くの人が課長級もしくは課長補佐級で定年を迎えます。まれに部長級まで出世する人もいます。

 

異動官職(大学)

採用された大学で係長級や課長補佐級となった後、40歳前後で他大学等(高専や独立行政法人を含む)の課長級となる職員のことです。

その後、2~3年ごとに管理職として複数の大学を異動します。他大学等での管理職経験の後、出身大学へ戻ることもあります。プロパー職員と同様に、キャリアのゴールは部長級となります。

 

異動官職(文科省)

大学採用の後、概ね20歳代後半で文科省へ転籍し、文科省の係長となった後、40歳前後で大学等の課長級となる職員のことです。

2~3年ごとに管理職として複数の大学を異動します。40代後半で部長級、50代で事務局長級になる人もいます。他大学等での管理職経験の後、文科省に課長等として戻ることもあります。

 

その他のキャリア

以上の3つのキャリアの他にも、以下の2つのキャリアがあります。ただし、いずれも国立大学職員としての採用ではなく、中央省庁や地方自治体・民間企業で採用された人のキャリアになりますので、本記事では参考として紹介させていただきます。

 

【参考】キャリア官僚

文部科学省のキャリア官僚(国家総合職での採用)が、国立大学の事務局長や副学長に就任することがあります。旧帝大(北海道・東北・東京・名古屋・京都・大阪・九州)の事務局長級は、ほとんどが文科省出身のキャリア官僚です。地方国立大学の場合は、ノンキャリアの異動官職(文科省)が事務局長級に就くこともあります

 

 

【参考】地方自治体や民間企業との人事交流

都道府県の幹部職員や民間企業(地銀等)の管理職が、人事交流も兼ねて、大学の理事や部課長として就任することがあります。

成果が上がっているかどうかはともかく、外部有識者の見識を取り入れるという名目で、最近は各大学でも増えてきているようです。

 


事務局長等の役員の経歴については各大学のホームページで公表していることが多いので、気になる方は確認してみてくださいね。

 

1-3. 各キャリアごとの出世スピードは?

一般的に、キャリアごとの出世スピードは以下のようになります。

異動官職(文科省)>異動官職(大学)>プロパー職員

 

そして、どれくらいの年齢でどれくらいの役職に就けるのかを一覧にしたのが次の表です。

 

 

必ずこの表どおりの役職に就けるとは限らないことに注意してください。例えば、係長級や主任級で定年を迎えるプロパー職員もいますし、部長級で定年を迎える異動官職(文科省)もいます。

 

2. プロパー職員(一般的な大学職員)の出世スピードは遅い

 

まずは、一般的な大学職員であるプロパー職員について解説します。

 

プロパー職員は採用された大学やその近辺の大学で安定して働ける代わりに、出世スピードは異動官職に比べると遅いと言えます。

 

2-1. プロパー職員になるには?

国立大学職員として採用後、特に文科省への出向や他大学への転籍を本人が希望しなければ、プロパー職員として採用大学でキャリアを重ねていくことになります。国立大学職員の90%以上はこのキャリアとなります。

 

2-2. プロパー職員の出世モデルと予想年収

基本的に年功序列で出世(昇任)します。多くの大学では以下のような出世モデル・予想年収となっています。

 

なお、出世モデル及び予想年収については、各国立大学法人が公表している役員の報酬及び職員の給与水準資料等をもとに筆者が独自に予想したものです(東京都内の大学職員を想定、諸手当込)。特に地方国立大学においては、実際の出世モデル及び年収とは異なることがあります。

 

 

ただし、最近はプロパー職員でも優秀な人を早く出世させる大学も多いようです。私の知っているケースだと、30代後半で課長補佐級に出世したプロパー職員もいました。

 

今後はこのようなケースも増えてくるかもしれませんね。

2-3. プロパー職員のメリット・デメリット

プロパー職員としてのキャリアを選ぶメリットとデメリットは以下のとおりです。

  1. 同じ大学でずっと働ける
  2. 出世競争がない
  1. 出世スピードが遅い
  2. 人間関係の問題を引きずる可能性がある

順番に見ていきましょう。

 

メリット①同じ大学でずっと働ける

基本的に転勤はないので、ライフプランを立てやすいです。マイホームを購入すればずっと住み続けられますし、子どもができても転校の心配をする必要はありません。

 

メリット②出世競争がない

プロパー職員が昇任するかどうかは基本的に年齢で決まります。

特別優秀な人でなくとも課長級や課長補佐級までは出世できることが多いので、「どうしても部長になりたい!」という人でもなければ、出世競争はほとんどありません。

 

デメリット①出世スピードが遅い

次は、デメリットです。

異動官職の人は40歳前後で課長級になりますので、それに比べると出世スピードは遅いです。

また、前述したように、昇任するかどうかは能力ではなく年齢で決まりますので、頑張りが出世スピードに反映されることは少ないです。

ただし、今後は頑張りが出世に反映されるようになる可能性もあります

 

デメリット②人間関係の問題を引きずる可能性がある

国立大学職員は離職率がとても低いため、人の入れ替わりが少ない職業です。

さらにプロパー職員は転勤がないため、いったん職員同士で人間関係の問題を抱えると、定年までずっと引きずる可能性があります。

 

3. 異動官職(大学)の出世スピードは30代までは遅いが、40代以降は早い

次に、異動官職(大学)について解説します。最初はプロパー職員として働きながら、40歳前後で自身のキャリアについて再考できるという点に特徴があります。

3-1. 異動官職(大学)になるには?

30代までは採用大学でプロパー職員として働き、40歳前後になると異動官職(大学)として働くかどうか、人事から打診があります。

 

なお、必ずしも優秀な職員である必要はなく、実際は仕事のできない職員の「厄介払い」のような運用がされているケースもあると聞きます。

 

この人事からの打診を承諾すると、異動官職(大学)となり、同じ地域内(東海地方、近畿地方など)、もしくは全国の大学を管理職として転々とすることとなります。

3-2. 異動官職(大学)の出世モデルと予想年収

異動官職(大学)の出世モデルと予想年収は以下のようになっています。

 

 

30代まではプロパー職員と同じ扱いですので、38歳以降に採用大学で係長級となっている場合が多いです。つまり、課長補佐級を飛ばして、係長級から課長級になる人もいます。

 

また、同じ地域内を異動するよりも、全国を異動する方が昇任は早い傾向にあります。

3-3. 異動官職(大学)のメリット・デメリット

異動官職(大学)としてのキャリアを選ぶメリットとデメリットは以下のとおりです。

  1. 若いうちは転勤なしで働くことができる
  2. 地域内の大学のみで異動することもできる
  1. 事務局長にはなれない
  2. 生涯年収はプロパー職員とあまり変わらない

順番に見ていきましょう。

 

メリット①若いうちは転勤なしで働くことができる

若いうちは転勤なしで働くことが可能です。

例えば、子どもが小さく手のかかるうちは採用された大学で働き、子どもに手がかからなくなったら管理職として各大学を異動するような働き方ができます。

 

メリット②地域内の大学のみで異動することもできる

大学の空きポストにもよりますが、特定の地域内の大学のみで異動することも可能です。

例えば、近畿地方内で異動する場合、和歌山大学の課長→神戸大学の課長→滋賀大学の部長といったようなキャリアを積むことができます。

 

デメリット①事務局長にはなれない

各大学で管理職として素晴らしい働きをしたとしても、残念ながら事務局長になることができる可能性はとても低いです。

法人化に伴う国立大学幹部事務職員の人事管理の変化に関する分析」(2020年・飯塚潤)によると、2018年の各大学の事務局長級で、異動官職(大学)出身者は0名となっています。

事務局長級になるには、キャリア官僚として文科省に採用されるか、異動官職(文科省)として全国の大学を飛び回る必要があります。

 

デメリット②生涯年収はプロパー職員とあまり変わらない

30代まではプロパー職員と出世スピードが変わらないため、年収もプロパー職員との差はありません。

40代以降は課長級以上の管理職となりますが、管理職になると超過勤務手当(残業代)がつかなくなります。係長級や課長補佐級として超過勤務手当を貰える期間が長いプロパー職員と比較すると、生涯年収にあまり大きな差はありません。

 

4. 異動官職(文科省)の出世スピードは早い

最後に、異動官職(文科省)について解説します。おそらく一般にはあまり知られていないキャリアだと思いますが、国立大学で出世しようと思った場合の最短ルートとなります。

4-1. 異動官職(文科省)になるには?

20代~30代前半に、採用大学から文科省に出向するチャンスがあります。近年は出向希望者が減ってきているらしいので、それほど優秀な人でなくても人事から声がかかるそうです。

 

文科省に出向後1~2年働き、働きが認められれば文科省職員として転籍することができます。

 

その後数年~十数年の間は文科省職員として働き、40歳前後になると異動官職(文科省)として各大学等に課長級として出向することになります。

 

4-2. 異動官職(文科省)の出世モデルと予想年収

異動官職(文科省)の出世モデルと予想年収は以下のようになっています。

 

 

文科省でのハードワークや全国転勤に耐え、同期との出世競争に勝ち抜けば、50代で事務局長級に就任することができます。

 

事務局長級になると、プロパー職員ではなかなか手が届かない年収1,000万円にも、容易く手が届くことになります。

 

4-3. 異動官職(文科省)のメリット・デメリット

異動官職(文科省)としてのキャリアを選ぶメリットとデメリットは以下のとおりです。

  1. 事務局長級になることができる
  2. 地方国立大学の採用でも、東京(文科省)で働くことができる
  1. 全国転勤がある
  2. 文科省の仕事は大学よりもハード

 

メリット①事務局長級になることができる

旧帝大の事務局長級になることは難しいですが、地方大学であれば事務局長級になることも可能です。

 

例えば、令和3年度の山口大学の理事・副学長(人事労務・財務施設担当)の経歴は以下の通りでした。

経  歴:

昭57.04 広島大学

昭62.04 文部省

平15.04 九州大学経理部主計課長

平15.10 同財務部主計課長

平18.04 文部科学省大臣官房会計課専門官

平19.10 同大臣官房会計課合同庁舎管理専門官

平20.04 同大臣官房会計課専門官

平21.01 同大臣官房会計課財務企画班主査

平23.04 同大臣官房会計課監査班主査

平25.04 同大臣官房会計課総務班主査

平27.04 同大臣官房会計課財務分析評価企画官

平29.04 国立大学法人東京工業大学財務部長

平31.04 国立大学法人山口大学理事、山口大学副学長(令3.3.31まで)

令03.04 国立大学法人山口大学理事、山口大学副学長

 

広島大学採用後、文科省に転籍し、40代で九州大学の課長に就任しているので、異動官職(文科省)の職員だと言えます。

 

なお、山口大学役職員の給与・報酬等公表資料によると、「役員出向者(=文科省からの異動官職)」となっているC理事(つまりこの理事)の年間報酬額は13,162千円となっています。

 

メリット②地方国立大学の採用でも、東京(文科省)で働くことができる

東京で公務員として働こうと思えば、国家公務員や都庁などの選択肢がありますが、どれもなかなかの狭き門ですよね。

しかし、文科省への出向制度を利用すれば、地方国立大学で採用された人でも、東京(文科省)で公務員として働くことができます。

 

デメリット①全国転勤がある

出世スピードの速さと引き換えに、全国転勤があります。縁もゆかりもない地方に単身赴任しなければならないので、家族との時間を大切にしたい人にはデメリットになります。

 

デメリット②文科省の仕事は大学よりもハード

一般的に、文科省での仕事は大学よりもハードです。文科省に研修に行っていた同期から聞いた話では、国会開催期間中は連日深夜まで残業することもあるそうです。

ワークライフバランスを重視する人にとっては、文科省のハードな環境で働くことは辛いかもしれません。

 

5. 国立大学職員のキャリア選択の3つのポイント

ここまでで国立大学職員の3つのキャリアの特徴や、それぞれのメリット・デメリットを解説してきました。

これらを踏まえて、これから国立大学職員を目指す人向けにキャリア選択の3つのポイントを解説しますね。

 

  • 事務局長級まで出世したければ、20代〜30代前半で文科省への転籍が必須!
  • 40歳でキャリアの再考ができるのが国立大学職員
  • 異動官職は減ってきており、プロパー職員の今後に注目

 

5-1. 事務局長級まで出世したければ、20代〜30代前半で文科省への転籍が必須!

ここまで解説してきたとおり、部長級であればプロパー職員からでもなることはできますが、事務のトップである事務局長級になりたければ異動官職(文科省)になることが必須となります。

 

そして、異動官職(文科省)になるためには、20代もしくは30代前半で文科省に出向・転籍し、その後数年~十数年間、文科省でハードワークに耐える必要があります。

 

「いくら将来出世できるといっても、ワークライフバランスを重視して大学職員を目指しているのだから、そんなのごめんだ!」という人もいるでしょう。ただ、人によっては文科省へ出向した方が良い場合もあります。

 

私の知人で地方国立大学から文科省に転籍した人がいます。彼は文科省で働くことを「仕事は忙しいがやりがいがある」「大学の閉鎖的な環境より、文科省の方が自分には合っている」と語っていました。

 

彼はワークライフバランスの良さに魅力を感じて国立大学職員になりましたが、文科省でバリバリ働く方が肌に合っていたようです。

 

彼のように、採用後のキャリアを自分で選択できることが異動官職制度の特徴です。大学職員になったけど、いまいち仕事にやりがいを感じられないという人は、文科省への出向にチャレンジしてみましょう。

 

5-2. 40歳でキャリアの再考ができるのが国立大学職員

20代〜30代前半で文科省への出向を選択しなかったとしても、40歳前後で異動官職(大学)になるというルートもあります。

 

20代で子供が産まれている場合は、子育てもひと段落ついていますよね。「これまではプロパー職員として家族中心の生活をしてきたが、40代からは管理職として仕事で活躍してみたい」と考える人にはうってつけのタイミングです。

 

このように、人生の節目節目で自身のキャリアについて選択できるのは、国立大学職員という仕事の良い点だと思います。

 

5-3. 異動官職は減ってきており、プロパー職員の今後に注目

法人化に伴う国立大学幹部事務職員の人事管理の変化に関する分析」(2020年・飯塚潤)によると、課長級以上の幹部職員に占める、異動官職(文科省)及び異動官職(大学)の割合は以下のようになっています。

 

※「法人化に伴う国立大学幹部事務職員の人事管理の変化に関する分析」(2020年・飯塚潤)表4を加工し作成

 

まず、課長級以上のポスト(幹部職員)の数が2004年から2018年にかけて、大幅に増えています。これは、国立大学の業務が多様化・複雑化していく中で、各大学で新規の部署が増えたことによるものと思われます。

 

しかし、幹部職員の数が増えている一方で、幹部職員に占める異動官職の人数・割合がともに減っていることが分かります。

 

異動官職(文科省)においては、人数は571名から521名に、割合は25.2%から19.9%に減っています。

 

異動官職(大学)においては、人数は994名から501名と半減し、割合も43.9%から19.9%まで減っています。

 

以上のように、国立大学の幹部職員に占める異動官職は人数・割合ともに減少してきています。近年はハードワークを敬遠して、文部科学省へ転籍する若手国立大学職員も減ってきているそうです。すなわち、将来の異動官職(文科省)の候補者も減ってきています。

 

したがって、国立大学の幹部職員に占める異動官職の割合については、今後もさらなる減少が予想されます。

 

当然、それに伴いプロパー職員の出世ルートもこれまでより拓かれてくるでしょう。国立大学に就職を考えている人はプロパー職員としてのキャリアを考えている人がほとんどでしょうから、よい傾向と言えるのではないでしょうか。

 

6. 筆者の場合はどうだったのか?(中途採用プロパー職員)

最後に、24歳で採用後、プロパー職員として地方国立大学で働いてきた筆者のケースと、現行制度に対する個人的な考えをご紹介します。

6-1. プロパー職員でも給与・待遇に不満はなし

まず、プロパー職員でも給与や待遇に特に不満はありませんでした。

 

25歳で375万円、30歳で405万円、35歳主任で500万円程度の年収をいただいていたため、夫の収入と合わせると、地方では十分豊かな暮らしができていたと思います。

 

また、30歳のときに人事から文科省への出向を打診されましたが、子供が小さかったため秒でお断りさせていただきました。30代の子持ちで、出向を希望していなかった私にまで打診してきたということは、よほど出向を希望する職員が少ないのだろうと思いました。

 

6-2. 現行制度の問題点(個人的感想)

私個人の考えとしては、異動官職(大学・文科省ともに)は本当に能力とやる気がある人だけに絞り、さらに数を減らすべきだと思っています。

 

理由としては、以下のとおりです。

  • 異動官職だからといって優秀な人材とは限らない
  • プロパー職員の士気が上がらない

 

異動官職だからといって優秀な人材とは限らない

文科省や複数の大学で仕事をしてきたからといって、優秀な人材とは限りません。

さらに、2〜3年で異動することがわかっているので、厄介ごとを避ける人や、事なかれ主義を貫く人さえいます。

このような人材を受け入れることは、大学にとって不利益となってしまいます。

 

プロパー職員の士気が上がらない

キャリア官僚が大学の重要ポストに就くのはある程度「仕方ないかな」と思うのですが、

  • 異動官職とプロパー職員では学力・能力に差がない
  • にもかかわらず、ただ働いてきた場所が違うだけの異動官職が大学の重要ポストに就いている

上記のような現状は、プロパー職員からすればあまり気持ちのいいものではありません。

 

大学職員の大多数を占めるプロパー職員の士気を上げるためにも、異動官職のポストは減らしていくことが望ましいと思います。

 

「5-3. 異動官職は減ってきており、プロパー職員の今後に注目」で見たとおり、実際に異動官職のポストは減ってきているので、今後は本当に能力とやる気がある人だけが選ばれるようになっていくでしょう。

 

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7. まとめ

国立大学職員には以下の3種類のキャリアがあり、出世スピードや年収は異動官職(文科省)> 異動官職(大学)> プロパー職員となっています。

 

プロパー職員

採用された大学、あるいはその近隣の大学でキャリアを重ね、定年を迎える職員のことで、国立大学職員の90%以上はこの職員です。多くの人が課長級もしくは課長補佐級で定年を迎えます。まれに部長級まで出世し、年収1,000万円近くを稼ぐ人もいます。

 

異動官職(大学)

採用された大学で係長級や課長補佐級となった後、40歳前後で他大学等(高専や独立行政法人を含む)の課長級となる職員のことです。その後、2~3年ごとに管理職として複数の大学を異動します。多くの人が部長まで出世することができますが、生涯年収はプロパー職員と大きく変わるわけではありません。

 

異動官職(文科省)

大学採用の後、概ね20歳代後半で文科省へ転籍し、文科省の係長となった後、40歳前後で大学等の課長級となる職員のことです。2~3年ごとに管理職として複数の大学を異動します。40代後半で部長級、50代で事務局長級になる人もいます。40代で年収1,000万円に到達することも可能であり、国立大学職員として出世する場合の最短ルートになります。

 

そして、以下が国立大学職員のキャリアの特徴です。

 

自分でキャリアを選択できる

  • 「30歳で文科省に転任し異動官職(文科省)になる」、「40歳で他大学等に転出し異動官職(大学)になる」といったように、国立大学職員は人生の節目節目で自身のキャリアについて選択することができます。

 

異動官職は法人化以降減っており、プロパー職員の今後に期待

  • 2004年の国立大学の法人化以降、国立大学の幹部職員に占める異動官職の数・割合ともに減ってきています。今後はプロパー職員の積極的な部長登用など、出世ルートが変化していくことも期待できるでしょう。

 

筆者の場合はプロパー職員でも給与・待遇に不満はなし

  • 筆者は10年以上プロパー職員として働きましたが、給与や待遇に特に不満は感じませんでした。文科省への出向や全国転勤を避けたい人は、安心して採用大学で働き続けることが可能です。

 

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