「大学職員の採用試験に学歴フィルターはある?」
「やっぱり採用試験では母校出身者が有利なの?」
「私は高卒だけど、大学職員にはなれるの?」
大学職員を目指す人の中には、このような疑問を抱えている人も多いのではないでしょうか。
確かに、大学職員といえば自分の卒業した大学で働いているイメージが強いですよね。
また、国立大学職員の統一採用試験の試験区分は「大学卒業程度」となっているため、高卒者でも大学職員になれるのか、疑問に思いますよね。
結論から言うと、以下のとおりとなります。
- 学歴フィルターはなく、年齢制限のみ
- 母校出身者かどうかは採用に関係なし
- 高卒者でもなれるが、年齢によって受けるべき試験は違う
- 大卒以上が応募の要件であることがほとんど
- 母校出身者が有利かどうかは大学によるが、大手私立ほど有利な傾向
- 高卒者でも任期付き職員からの登用は可能
この記事では、大学職員の学歴に関することを、元国立大学職員の筆者が自らの経験も交えて説明します。
- 国立大学職員に学歴フィルターはない
- 私立大学職員は大卒以上が要件であることがほとんど
- 筆者が務めていた国立大学職員の学歴(偏差値)を年代別に紹介
- 大学職員になるには母校出身者が優位かどうか
- 高卒から大学職員になる方法(学歴不問でもOK)
学歴フィルターの有無や出身大学の偏差値など、リアルではちょっと聞きにくい話題についても触れます。
さらに、国立大学か私立大学かで採用の難易度が変わってくることなど、少し踏み込んだ内容も説明します。
大学職員になりたいけれど自分の学歴に不安のある人は、ぜひ最後まで読んでみてください。
1. 国立大学職員に学歴フィルターはなく、年齢制限「年度末年齢で30歳以下」という条件のみ!
国立大学職員になるための最も一般的な手段である「国立大学法人等職員統一採用試験」の受験資格は、「年度末年齢で30歳以下」という条件のみです。
「大卒以上」「卒業から〇年以内」「社会人経験〇年以上」といった制限は一切ありません。
そのため、国立大学の採用における筆記試験の区分は「大学卒業程度」となっていますが、大卒ではない人でも堂々と受験することができます。
また、のちほど説明しますが、出身大学の偏差値や母校出身者かどうかといった要素は採用に関係ありません。
試験の難易度としては、ほとんどの問題は高校までの知識で十分に解くことが可能です。
ただし、数的処理や時事問題などの一部の問題は別途対策が必要となります。
2. 私立大学職員は大卒以上が要件のことがほとんど
一方、私立大学は大卒を職員採用試験の受験資格としているところがほとんどです。
私立大学は筆記試験を課さないことも多いため、学歴の要件を設けることで志願者の学力を確保しておく狙いがあるのだと考えられます。
なお、母校出身者以外の内定者の偏差値は、応募する大学の偏差値よりも高くなることが多いようです。
例えば、神戸学院大学の採用実績校は以下のようになっています。関西地方の名門大学からの採用が多いようですね。
引用:リクナビ2023
高卒で私立大学職員になる方法は後ほど説明しますが、私立大学では一定の学力確保のために大卒を要件とすることが多く、また、母校出身者以外の内定者の偏差値は応募する大学よりも高くなりがちということは覚えておきましょう。
3. 筆者の勤めていた国立大学の職員の学歴(偏差値)を年代別に紹介
国立大学職員採用試験の受験資格が年齢のみであることは、「1. 国立大学職員に学歴フィルターはなく、年齢制限は年度末年齢で30歳以下のみ!」で説明しました。
ただ、そうは言っても、「実際は高卒や偏差値の低い大学出身者は採用されないのでは?」という疑問を持つ人もいると思います。
そこで参考に、筆者が勤めていた地方国立大学の職員の年代別の学歴(偏差値)を紹介します。
具体的に紹介する年代は以下の通りです。
- バブル世代(1965年~1970年生まれ)
- 氷河期世代(1970年~1983年生まれ)
- ゆとり世代(1987年~2004年生まれ)
もちろん筆者は全職員の学歴を知っているわけではなく、あくまで観測できる範囲でのデータになりますのでご了承ください。
3-1.バブル世代(1965年~1970年生まれ)の半分ほどは高卒
バブル年代の人たちは、半分程度が高卒の方でした。
これには、バブルの頃は「公務員=負け組」のように思われており、大卒者の多くは民間企業に就職したという時代背景も関係していると思います。
たまにいる大卒者も(失礼ですが)偏差値の高くない私立大学出身者が多く、勤務先の国立大学出身者はほとんどいなかったです。
3-2. 氷河期世代(1970年~1983年生まれ)のほとんどは大卒(地方国立大学や中堅私立大学が多い)
氷河期世代になると、大卒者がほとんどになり、地方国立大学や中堅私立大学の出身者が多くを占めるようになります。
ただ、旧帝大や有名私立大学出身の人は、ほとんど見たことがありませんでした。
また、新卒で大学職員になったという人が少なく、民間企業からの転職者が多かったような印象です。氷河期世代で民間企業の新卒採用は相当少なかったようですが、大学職員も例外ではなかったのでしょう。
3-3. ゆとり世代(1987年~2004年生まれ)は旧帝大や有名私立大学出身者も
ゆとり年代の人たちは、毎年のように旧帝大や有名私立大学出身の人が採用されていました。
リーマンショックや新型感染症の影響で民間企業の新卒採用が減り、公務員のような安定した仕事に人気が集まったため、高学歴の人も大学職員を志望するようになったのが大きな要因です。
ただ、偏差値の高い大学出身者しか採用していないのかというと全くそんなことはなく、無名私立大学や短大・専門学校出身者は、むしろ氷河期世代よりも数多く採用されていました。
その傾向は最近になるほど高まっているため、学歴よりも人物や能力を重視する風潮が強まってきているものと考えられます。
4. 大学職員の新卒採用や転職では母校出身者が有利?
「大学職員の採用は母校出身者が有利」「母校出身者を優先して採用する大学もある」といった話を聞いたことがあるかもしれません。
結論を言うと、次のとおりです。
- 国立大学職員の場合:母校出身者かどうかは関係ない
- 私立大学職員の場合:母校出身者が有利なことも多い
国立大学の場合は、母校出身者かどうかは採用に関係ありません。
私立大学の場合は、「大学による」というのが実際のところですが、特に有名私立大学の採用では母校出身者が有利なことも多いです。
以下でデータや例を出しながら、詳しく解説しますね。
4-1. 国立大学職員になる場合は母校出身者かどうかは関係なし!
国立大学職員になる場合は、母校出身者かどうかは採用に関係ありません。
実際に私も自分の母校ではない国立大学に勤めていましたし、周りの職員も母校出身者はせいぜい2割程度でした。
また、国立大学職員には、私立大学や公立大学の出身者も多いです。
東海・北陸地区国立大学法人等職員採用試験実施委員会が発行している職員業務案内2021に、令和元年度採用者の学歴について掲載されていますので、見ていきましょう。
令和元年度に東海・北陸地区国立大学法人等の職員として採用された64名(採用総数100名)の学歴の内訳は、以下のようになっています。
※東海・北陸地区国立大学法人等職員業務案内2021のデータを加工して作成
グラフから分かるとおり、私立大学出身者と公立大学出身者の合計が3分の1を占めています。
個人的には、もっと私立大学・公立大学出身者が多いと思いましたが、このアンケートの有効解答数は64人と少ないので、たまたまこの年度の採用者の学歴に偏りがあった可能性もあります。
繰り返しになりますが、国立大学職員の採用に学歴による制限はありませんので、母校出身者かどうかを気にする必要も全くありません。
4-2. 私立大学職員になる場合は大学によるが、母校出身者が有利な大学も多い!
私立大学職員になる場合は、大学にもよりますが、母校出身者が優位なことも多いです。
例えば、極端な例で言うと、日本大学はつい最近まで、日本大学の学生や関係者からしか職員採用を行っていませんでした。
また、立命館大学はホームページで職員の出身大学比率を公表していますが、それによると専任職員の62.3%が立命館大学出身者ということです。
このように、特に有名私立大学の採用では母校出身者が有利なことも多いです。
私立大学では面接や志望動機が重視されるため、自らの経験に結びつけて志望動機や愛校心を語ることのできる母校出身者が有利になるのは、ある程度仕方のないことだとも言えます。
一方で、中堅私立大学や、これから規模を拡大していこうとしている大学では、出身校がそれほど重視されないケースもあります。
例えば、桜美林大学がホームページのQ&Aで公開している情報によると、同校では母校出身者の割合は20%となっており、私立大学ではかなり低い水準です。
しかし基本的には、私立大学出身で大学職員を目指す人は、まずは母校の職員採用にチャレンジしてみるのがおすすめです。
母校以外の私立大学職員採用にチャレンジするときは、職員に占める母校出身者の割合を確認しておきましょう。
ほとんど母校出身者からしか採用しない大学を受験しても、効率が悪いですからね。
転職会議のような口コミサイトで確認するのも良いですし、説明会などで職員の人に質問してみるのも良いでしょう。
5. 高卒から大学職員になる方法【学歴不問でもOK】
ここまで主に大卒者の職員採用について説明してきましたが、高卒の方で大学職員になりたいと考えている人もいると思います。
高卒者が大学職員になることは、実は国立・私立を問わず可能です。
高卒から大学職員になる方法は、以下の2つです。国立大学職員になる場合と私立大学職員になる場合に分けて解説しますね。
- 国立大学の場合は、3つの試験の中から自分に合ったものを選ぼう!
- 私立大学の場合は、任期付き職員からの登用を目指そう!
5-1. 国立大学の場合は、3つの試験の中から自分に合ったものを選ぼう!
「1. 国立大学職員に学歴フィルターはなく、年齢制限は年度末年齢で30歳以下のみ!」で説明したとおり、国立大学職員になるために学歴の要件はありません。
国立大学職員になるためには以下の3つの方法がありますが、あなたの年齢によって受けるべき試験は異なります。
- 国立大学法人等職員統一採用試験
- 各国立大学法人が行う個別採用試験
- 勤務する大学の常勤職員登用試験
以下で詳しく解説しますね。
22歳未満なら統一採用試験を受けよう!
あなたが22歳未満ならば、①統一採用試験の受験がおすすめです。統一採用試験は3つの方法の中で採用人数が最も多く、単純に合格する確率が一番高いというのが理由のひとつです。
私のいた大学では、統一採用試験から高卒者が採用されることもありましたが、全員が22歳未満でした。
どの大学も、若いうちから大学職員として経験を積んで欲しいから、あえて高卒者を採用するケースが多いと思います。
大卒者が統一採用試験を受ける場合は年齢での有利不利はありませんが、高卒者の場合は若ければ若いほど有利になります。これが、22歳以下の方に統一採用試験をおすすめするもうひとつの理由です。
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あり | 模擬面接 | なし |
あり | 講師への質問 | なし |
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22歳以上なら個別採用試験か任期付き職員からの登用試験を受けよう!
22歳以上では大卒者と比べられるため、統一採用試験からの採用の難易度は上がってしまいます。
そのため22歳以上の人は、②個別採用試験か③常勤職員登用試験での採用を狙いましょう。
②個別採用試験の場合は、施設系職員などは実務経験や資格の有無のみが応募要件となっていることもあるため、特におすすめです。
実際に、私の勤務していた大学でも、19歳の女の子が個別採用試験から施設系職員として採用されたことがありました。
③常勤職員登用試験の場合は、最低一年程度非常勤職員として勤務する必要があり、また試験の倍率も高いため、すぐに大学職員になれる保証はありません。
しかし、非常勤職員として勤務することで、大学職員の働き方や職場の雰囲気を確かめられるというメリットもあります。
例えば、子どもが大きくなるまでは時間の融通のきく非常勤職員として働き、子どもが大きくなったら常勤職員として働くことを視野に入れたい人にはおすすめです。
ただし、非常勤職員の給与は時給制であり、常勤職員と比べるとかなり低いことに注意しましょう。
5-2. 私立大学の場合は、任期付き職員からの登用を目指そう!
「2. 私立大学職員は大卒以上が要件のことがほとんど」で説明したとおり、私立大学の場合は大卒が採用の要件となっていることがほとんどです。
しかし、高卒者でも任期付き職員からの登用を目指せば、専任事務職員(常勤職員)になれる可能性があります。
注意して欲しいのは、有名私立大学の場合は国立大学以上に狭き門となるということです。
大学にもよりますが、任期付き職員からの登用試験は通常の職員採用と合同で行うという大学も多いです。
普段の仕事ぶりや人となりを知ってもらっているという点はやや有利になりますが、何百倍という高い倍率を勝ち抜かないといけません。
専任職員への登用を目指して任期付き職員になる場合は、登用の制度はどうなっているのか、過去に登用の実績はあるのかなど、事前に良く確認しておくようにしましょう。
6. まとめ
大学職員の学歴は、国立・私立それぞれで以下のようになっています。
- 学歴フィルターはなく、年齢制限のみ
- 母校出身者かどうかは採用に関係なし
- 高卒者でもなれるが、年齢によって受けるべき試験は違う
国立大学を受験する場合は、学歴について気にする必要はありません。
ただし、あなたが高卒者の場合は年齢によって受けるべき試験が違います。22歳未満なら統一採用試験、22歳以上なら個別採用試験か常勤職員登用試験を受けましょう。
- 大卒以上が応募の要件であることがほとんど
- 母校出身者が有利かどうかは大学によるが、大手私立ほど有利な傾向
- 高卒者でも任期付き職員からの登用は可能
私立大学を受験する場合は、まずは母校を第一志望にすることで合格の可能性はグッと高まるでしょう。
母校以外の大学を受験する場合は、偏差値が同等か、より高い大学の出身者でなければ、採用で不利になることは意識しておきましょう。
任期付き職員からの登用を狙うことで、高卒から私立大学職員になることも可能です。ただし、事前に登用制度の有無や過去の実績については確認しておきましょう。
この記事が、大学職員を目指す人の役に立つことができれば幸いです。