「大学職員って、いろんな部署があるけど、どこがおすすめ?」
「どの部署に希望すれば楽しく働けるのかわからない」
特に、これから大学職員を目指す人や、働き始めたばかりの人、内定をもらった人にとって、自身の働き方やキャリアに合った部署を見つけて、有意義に働きたいですよね。
この記事では、元・大学職員の筆者が、あなたが目指す働き方やキャリア別におすすめできる部署を6つ厳選しました。
出世を目指したい大学職員におすすめの部署2つ
大学ならではの仕事がしたい人におすすめの部署2つ
楽な部署がいい人におすすめ2つ
番外編として、激務な部署もご紹介いたします。
大学職員の仕事は楽そうだという話を聞きますが、意外と忙しい部署もあります。中には、「こんなはずじゃなかった!」と後悔して辞める人も実際に何人か見ています。
後悔しないためにも、心構えとして知っておきましょう。
元大学職員の津田
【経歴】
大学卒業後、東京の民間企業で事務として2年間働く。
給料の安さと仕事の忙しさに限界を感じ、出身地方の国立大学に転職。ワークライフバランスの取れた生活と安定した収入を得ることに成功。
32歳で私立大学に転職活動。中堅私立1校から内定をいただくも、勤務地・給与の折り合いがつかず内定辞退。
夫の転勤により36歳で国立大学を退職。
現在は主婦業の傍らフリーのライターとして活動中。
- 大学職員を目指している人
- 大学職員の内定が決まっている人
- 大学職員で働き始めたばかりの人
最後まで読むことで、あなたにとってどの部署がおすすめなのか分かります。
記事の最後には、部署の希望は必ずしも反映されないとの注意点についても説明いたします。心構えをする上でも、最後までじっくりとご覧くださいね。
1. 【働き方・キャリア別】元大学職員がおすすめする部署一覧表
まずは、働き方やキャリア別にどんな部署がおすすめなのか、元大学職員の筆者が、ご紹介します。
気になる所から、読み進めてみてくださいね。
2. 出世を目指したい大学職員におすすめの部署2つ
まずは、出世を目指したい大学職員におすすめの部署を2つご紹介します。
- 財務部
- 総務部
大学は、教育や研究をする場所です。そのための「お金」を動かしたり「人」や「大学」をサポートしたりする仕事は、花形部署ともいえるでしょう。
実際に、財務部と総務部を経験している人は、課長クラスに出世している人も多く、この2つの部署を異動している人は「将来管理職になるだろう」と、噂されていることも耳にしました。
ただし、一般的な大学職員(プロパー職員)は、民間企業に比べて出世が遅いです。
ここで紹介する2つは、文科省の出向や他大学への異動を行わない、一般的な大学職員として出世を目指すのならこの2つがおすすめということを覚えておいてください。
※本当に出世コースを目指すのであれば、異動官職(文科省の出向や他大学への異動をする)になる方法をおすすめします。詳しくは、下記をご覧ください。
2-1. おすすめ①財務・会計部
- 出世度:星4
- 専門性:星5
- 忙しさ:星3
仕事内容:大学運営に必要なお金の計画・管理を担当
- 財務諸表の作成
- 予算計画の策定
- 入金・出金業務 など
- 物品の調達・購入
- 競争入札に関する事務
- 旅費計算 など
大学職員で出世を目指す場合におすすめする1つめは、財務・会計部です。
財務部や会計部は、大学内での予算や運営など重要な機密情報を扱います。
つまり、大学の経営に直結する部署ということ。予算策定や財務分析を通じて経営戦略に貢献することで、大きく評価されます。責任が多い仕事なので、上手くいけば、出世の道が見えてくることでしょう。
数字を扱うため、正確性や専門性の高い部署で忙しくもありますが、とてもやりがいがある仕事だと思います。
また大学の運営には、多くの部署が関わっています。他の部署や教員と情報を共有したり説明したりするコミュニケーション能力やチームワークが求められる一面もある部署です。
- 数字に強い人
- 正確な作業ができる人
- 責任感がある人
- コミュニケーション能力が高い人
簿記や会計の知識は必ずしも必須ではないですが、あった方がしやすい仕事です。
その関係で、経済学部や経営学部を卒業した人は、財務・会計系の部署に配属されることが多い印象です。
簿記取っておきたい方は、こちらの記事が参考になるので、ぜひ読んでみてください。
2-2. おすすめ②総務部
- 出世度:星4
- 専門性:星3
- 忙しさ:星4
仕事内容:いわゆるなんでもやさん
- 大学の将来構想等の企画・立案
- 会議・式典の開催に関する事務
- 規則・学則の制定や改廃
- 教職員の給与計算 など
- 学部の運営管理
- 教授会や学部で開催する行事に関する事務 など
次に、出世を目指したい大学職員におすすめな部署は、総務部です。
こちらも、大学の運営に欠かせない部署。上記の仕事内容でも分かる通り、大学運営に関するあらゆる業務に携わっています。
例えば、教授会の調整や教員と職員で行う会議の調整などはもちろん、大学の将来構想などの企画立案など運営に関することも行います。
どの部署が担当すべきかわからない仕事は、総務部が担当することも多いため、忙しい部署です。
しかし、運営に関する幅広い知識やスキルを身につけるため、出世しやすいといえるでしょう。
大学の役員や学外の人とのやり取りをすることも多く、人脈を広げることもできる点も、出世のしやすさと関係しているのではないでしょうか。
- 大学の運営に興味がある人
- コミュニケーション能力が高い人
- 法律の知識を持っている人
- いろんな仕事をしたい人
大学は公的機関として様々な法律や規則に基づいて運営するため、法律の知識を持っている人にもおすすめです。
3. 大学ならではの仕事がしたい人におすすめの部署2つ
大学ならではの仕事がしたい人におすすめの部署は、この2つです。
- 学生支援系
- 国際交流系
大学職員といえば、学生との関りや留学生との交流を想像している人も多いのではないでしょうか?
大学職員でなければ経験できない部署に配属されたい方は、この2つをおすすめします。
3-1. おすすめ①学生支援系
- やりがい:星5
- 専門性:星2
- 忙しさ:星5
仕事内容:入学から卒業まで幅広くサポート
- 学生指導方針に関する企画・立案
- 入試の広報・実施 など
- 学生の修学支援・相談窓口での対応
- 学生の就職支援
- 奨学金受給や授業料免除手続き
- 授業カリキュラムの編成 など
学生支援系は、その名の通り大学生の「学生支援・学生対応」が主な仕事です。大学ならではの仕事がしたい方におすすめします。
主に、大学生の入学から卒業・就職まで学業面や生活面を幅広くサポートします。具体的には、入試の広報や実施から、学生の修学支援、奨学金業務などを行います。
意外と学生と関わる機会がない大学職員ですが、学生支援系の学部は、がっつりと学生と関われる部署です。大学ならではの仕事といえますよね。
窓口対応や電話対応に時間を追われることもあり、忙しい部署でもあります。
学生の悩みや困っていることについて適切に解決しなければならないので、コミュニケーションを円滑に図れる人に特におすすめできる部署です。
しかし、学生から社会人へと飛び立つ姿まで見守り続けることができるのは、学生支援系の魅力といえるのではないでしょうか。
- 学生へのサポートを熱心に行いたい人
- 悩みや困りごとなど相談に乗るのが得意な人
- コミュニケーションを円滑に図れる人
- 学生の成長を見守りたい人
大学職員の中でも忙しい部署ですが、大学職員だからこそできる仕事で、非常にやりがいを感じる仕事だと思います。
3-2. おすすめ②国際交流系
- やりがい:星5
- 専門性:星4
- 忙しさ:星2
仕事内容:海外との学術交流や留学生の推進を支援
- 国際交流計画の企画・立案
- 海外の大学・研究機関との学術交流協定の締結
- 外国人職員や外国人留学生の受け入れや生活支援
- 教職員や学生の海外派遣の手続き など
国際交流系も、大学ならではの仕事をしたい方におすすめです。
こちらも名前の通り、海外との学術交流や留学生の推進を支援します。
外国人教員や留学生からのお問い合わせに対応する部署なので、外国語(主に英語)を日常的に使用します。
そのため、英語や中国語など、外国語が得意な人におすすめの部署です。とはいえ「TOEIC○○点以上」ないと配属されない、など明確な基準はないので、希望をすれば配属される可能性はあります。
ただし、外国人教員や留学生からの相談やお困りごとに対応することが仕事なので、相手が理解できるように丁寧に対応することができる人が向いています。
外国人教員や留学生にとって、国際交流系の職員は異国の地で数少ない「頼れる人」です。そんな彼ら・彼女らに寄り添い、サポートできる人、異文化を理解しようとする姿勢がある人におすすめです。
- 英語などの外国語が得意な人
- 相手に寄り添い丁寧に対応できる人
- 悩みや困りごとなど相談に乗るのが得意な人
- コミュニケーションを円滑に図れる人
- 異文化交流に理解がある人
外国人教員や留学生をサポートなど、大学ならではの仕事ですよね。日常生活の支援なども仕事に含まれるので、非常にやりがいが高い仕事です。
4. 楽な部署がいい人におすすめ2つ
楽な部署がいい人におすすめの部署は、以下の2つです。
- 図書系
- 情報推進系
正直なところ、大学職員を目指す理由の1つとして、大企業よりも忙しくなく、収入が安定しているイメージがあるかと思います。
そんな楽な部署がいい人は参考にしてみてくださいね。
本当に大学職員が楽なのかどうか知りたい方は、こちらの記事を参考にしてみてください。
4-1. おすすめ①図書系
- やりがい:星3
- 専門性:星5
- 忙しさ:星1
仕事内容:図書の貸出や学術情報の提供
- 図書の選定・購入、貸出・配架
- 図書館資料の分類・目録作成
- 各種データベースの利用支援
- 学術情報の発信 など
図書系は、楽な部署に所属したい人におすすめです。
図書系は、その名の通り、図書の貸し出しからネットワークを利用した情報提供まで、幅広く学術情報の提供を行います。
実際に、図書系に配属された大学職員で残業をする人はほとんどいませんでした。
図書の分類や目録作成、データベースの利用、著作権に関する知識など、専門的な知識が必要ですが、必ずしも司書の資格を持つ必要はありません。
ただし、図書系職員として採用されるためには、毎年7月に行われる職員統一採用試験において「図書」の区分を受験する必要があります。
試験は第一次試験と第二次試験の筆記試験があります。
- 第一次試験:教養試験
- 第二次試験:図書館管理論及び情報管理論に関する専門知識
なので、図書系の部署に配属を希望しているのであれば、試験勉強は必須といえるでしょう。
- 司書の資格を持っている人
- 職員統一採用試験の勉強ができる人
「図書」以外の区別で採用された職員でも図書系部署に配属されることはありますが、本当に稀ですね。
4-2. おすすめ②情報推進系
- やりがい:星3
- 専門性:星4
- 忙しさ:星2
仕事内容:大学内のネットワークやシステム、サーバーの運用・保守
- 事務情報化の推進
- PCやサーバーの管理
- 情報セキュリティに関する業務
- ネットワークの維持管理 など
情報推進系の部署も楽したい人におすすめです。
仕事内容は、大学キャンパス内のネットワークやシステム、サーバーの運用・保守に関する業務を行います。
大学生が入学する4月や新しいシステムを導入するときなど、一時的に忙しくなることがありますが、普段はネットワークやシステム、サーバーの維持管理がメインなので、忙しくありません。
パソコンに詳しい人や情報系の学部を卒業している事務職員が配属されることが多いですが、パソコンやネットに関する知識がない職員が配属されることもあります。必ずしも専門知識が必要というわけではありません。
ただし、学内に新しいシステムを導入するときなどは、新しい技術を率先して学び、教職員に教えなければならない立場になります。
新しいものを進んで理解できる姿勢を持てる人物に向いているといえるでしょう。
また、情報系の職員や外部のSEがこの役割を担っていることも多いため、事務職員の人数は少ない可能性が高いです。
- 情報系の学部を卒業した人
- パソコンやネットに詳しい人
- 新しいものを進んで理解できる姿勢がある人
私が以前勤めていた地方国立大学では、情報推進系に配属されている事務職員は10人以下でしたね。
5. 【番外編】大学職員の激務な部署3つ
ここでは、番外編として、大学職員の部署で激務な部署を3つご紹介します。
- 病院事務系
- 財務系
- 学生支援系
こちらの3つのうち2つは、上記の章で少し触れたものもあります。どの辺が激務なのか具体的に深掘りしてご紹介しますね。
5-1. 激務な部署①病院事務系
- やりがい:星4
- 専門性:星3
- 忙しさ:星4
仕事内容:医療事務・病院の経営管理
- 外来患者の受付(窓口は外部の派遣会社などが行う)
- 診療・入院費用の算定・収納
- 医療相談や医療訴訟に係る業務
- 病院の経営方針策定 など
激務な部署の1つ目は、附属病院のある大学限定の部署となりますが、病院事務系です。
病院事務系の部署は、診察や入院費用の算定・収納、カルテ管理などの医療事務的な仕事だけではなく、医療相談や医療訴訟に係る業務、さらには病院の経営方針の策定など多岐にわたります。
想像できると思いますが、大学病院は診療科が多いです。
診療科が多いと、必然的に患者さんの来院数が増えます。その分、診療・入院費用の算定・収納など医療事務に関する業務も多く、残業する人が多いです。
外来の窓口業務は、基本的には外部の派遣会社が行うことが多いですが、医療相談などの窓口は病院事務に配属された大学職員が行います。患者さんに寄り添った対応をしなければならないので、気を使いますし、激務だと感じるでしょう。
また、大学と附属病院とは予算が分かれていることから、決算業務や予算などの財務的な業務も担当しなければならないため、業務内容は本当に多いです。
しかし、患者さんの健康を支える縁の下の力持ち的な役割なので、やりがいのある部署です。
特に、医療事務などの資格を持っているかどうかは関係ないです。どんな大学職員でも病院勤務になる可能性はあるでしょう。
いったん病院事務系に配属になると、しばらく病院内で異動するという謎の現象がよく見られる部署ですね。
5-2. 激務な部署②財務系
激務な部署の2つ目は、財務系です。「2-1. おすすめ①財務・会計部」のうちの財務部系は、わりと忙しい部署だといえます。
なぜなら、競争入札の実施や財務諸表の作成、物品の調達購入など業務量が多い部署だからです。
特に、決算期である3月~5月は、本当に忙しく業務量が増えるため、夜遅くまで残業しなければならず、激務な部署だなと感じます。
決算期以外の時期はルーティンワークが多く、容量が良い人はそこまで残業せずに業務をこなしているようです。
私の経験上、本部で働く財務系よりも、物品の調達購入などが多い学部系職員の方が日常的に忙しい印象です。
5-3. 激務な部署③学生支援系
激務な部署の3つ目は、学生支援系です。こちらも「3-1. おすすめ①学生支援系」で触れましたが、激務な部署の1つです。
特に、窓口対応や電話対応に時間を取られるので、自分の仕事が中々できないことが大きな理由でしょう。
市役所の窓口や銀行の窓口を想像してみてください。自分が今取り組まなければならない業務がある時など忙しい時でもお構いなしにお客様の対応をしなければなりませんよね。
学生支援系も同じく、忙しい時に学生が来て対応をしなければならないということもあります。
特に入学・卒業と重なる3月~4月は、深夜まで残業をする人も多いです。
大学ならではの仕事でやりがいはありますが、激務な部署の1つ。実際に希望してこの部署に所属する人は少なかった印象です。
6. 【注意点】部署の異動希望は出せるが必ずしも実現できるとは限らない
ここまで、大学職員でおすすめの部署をあなたが目指す働き方やキャリア別にご紹介してきました。
ここで注意しておきたいことが1つあります。それは、人事評価の際に部署の異動希望は出せますが、必ずしも好きな部署に所属できるとは限らないということ。
部署の空きがなかったり、異動先の部署が十分な人件費の予算を持っていなかったり、と色々理由はあります。希望する部署が、専門知識を持っている人を優先的に異動させたいなど大学組織内の事情もあるでしょう。
一般的な会社でもそうですよね。組織を運営していかなければならないので、組織全体の方針に合った配置が行われます。これは、大学職員も同じです。
ただし、大学職員は2年~3年、長くて、4年ほど1つの部署に配属されたのち、異動があります。
大学職員として働いていくのであれば、異動希望を提出できる機会は何度もあるので、配属された部署で、業務を頑張り人事評価を高める努力をしたり、希望する部署のスキルを身につけたり(例えば、簿記や英語の勉強)することをおすすめします。
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7. まとめ
大学職員におすすめできる部署は、下記の通りです。
- 財務・会計部
- 総務部
- 学生支援系
- 国際交流系
- 図書系
- 情報推進系
激務な部署は、下記の通りです。
- 病院事務系
- 財務系
- 学生支援系
異動希望は、必ずしも通るわけではありませんが、2年~3年に1度、部署の異動があり、異動希望は、何度も出せます。
大学職員を目指す人の参考になれば幸いです。
大学職員に転職をお考えの人は、下記の記事も参考にしてみてください。