「国立大学職員にはなるには、どんな方法があるの?」
「国立大学職員の採用の難易度や倍率は高くないのかな?私でも受験して合格できそうかな?」
国立大学職員になりたいと考えている人の中にはこのような疑問を持っている人もいるのではないでしょうか。
国立大学生にとっては、身近な社会人である国立大学職員。近年、安定した給与とワークライフバランスの良さから人気を集めている職業でもありますよね。
結論から言うと、国立大学職員になるには、3つの方法があります。
①国立大学法人等職員統一採用試験
- 基本的な方法
②各国立大学法人が行う個別採用試験
- アピールできる資格や社会人経験がある人向けの方法
③勤務する大学の常勤職員登用試験
- 非常勤として国立大学に勤務する(している)人向けの方法
この3つの採用方法は、受験資格や試験内容が違うため、自分に合った方法を選択することで、国立大学職員になる確率をグッと上げることが可能です。
とはいえ、どの採用試験が自分に合っているのかを判断することは難しいですよね。
この記事では、元・国立大学職員である筆者が、以下のことを解説します。
- 国立大学職員になるには3つの方法があること
- 各試験の日程・受験資格・難易度
- 各採用試験におすすめな人
- 筆記試験はそれほど難しくないこと
- 必要な資格は特にないこと
- 国立大学職員になるために注意すべき3点
この記事を最後まで読んでいただくことで、国立大学職員になる具体的な方法と、自分にはどの方法が向いているのかが分かるようになります。
ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
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1. 国立大学職員になるには3つの方法がある
国立大学職員になるには、主に次の3つの方法があります。
- 「国立大学法人等職員統一採用試験」を受ける
- 各国立大学法人が行う「個別採用試験」を受ける
- 勤務する大学の「常勤職員登用試験」を受ける
経歴や能力によって最適な試験は異なります。どの試験が自分に合っているか知るため、まずはそれぞれの試験の特徴を理解しましょう。
1-1. 国立大学法人等職員統一採用試験を受けるのが一般的
国立大学職員になるには①「国立大学法人等職員統一採用試験」を受けるのが最も基本的な方法です。例年5月ごろにインターネット出願を受け付けています。
国立大学法人等職員統一採用試験は、一次試験と二次試験があります。
- 一次試験:教養科目のみの筆記試験(マーク式)
- 二次試験:各国立大学法人等で行われる面接試験
受験の難易度などはのちほど詳しく説明しますね。まずは、どのような流れになるのか見ていきましょう。
最初に受験する一次試験は以下の7つの地区のいずれかで、受験します。
▼受験できる7つの地区
※クリックで各地区の採用試験事務室のホームページに飛びます
国立大学法人「等」と付いていることからわかるように、国立大学法人だけでなく、国立高等専門学校機構や大学共同利用機関、一部の独立行政法人についても、この試験を通じて採用を行います。
一次試験に合格した方のみ、各大学が独自で行う面接やグループディスカッション等の二次試験に進めます。
日程がかぶっていなければ複数の大学の二次試験を受験することができますが、一次試験と異なる地区の大学の試験を受験することはできません。
例えば、関東甲信越地区の一次試験を受験した人が東京大学と埼玉大学の二次試験を受験することは可能ですが、大阪大学の二次試験を受験することはできません。
各大学の採用人数は多いところでは20名程度と、市役所等の採用人数と比べても遜色のない規模の試験と言えます。
例えば、令和3年度の新潟大学の事務職員採用予定人数20人に対して、新潟市役所の一般行政職(大学卒業程度)の採用予定人数は13名でした。
マーク式の教養試験と面接試験を通過する必要があるため、筆記と面接のどちらの対策も必要になります。
1-2. 国立大学職員になるには、各国立大学法人が行う「個別採用試験」を受ける方法もある
各国立大学が転職サイトや大学のホームページなどで職員の募集を行い、②「個別採用試験」を実施することがあります。
先ほどの統一試験とは違い、通常、筆記試験は課されません。
また、年齢制限も35歳程度まで緩和されていたり、設定されていない場合もあります。
ただし、社会人として実務経験が必要であったり、何らかの資格が必要だったりする場合があるので注意が必要です。
主に転職者向けの求人であり、時期に関わらず募集が行われるため、普段から転職サイトや志望大学のホームページをこまめにチェックしておく必要があります。
1-3. 国立大学職員になるには非常勤として働き、勤務する大学の「常勤職員登用試験」を受ける方法も
国立大学職員になるには、非常勤職員として勤務し、常勤職員を目指す方法もあります。
国立大学の中には、契約職員や非常勤職員向けに、③「常勤職員登用試験」を行っている大学があります。
選考方法は各大学の規則によりますが、通常、年齢制限はありません。
国立大学法人等職員統一採用試験と同様に、一次試験として教養のみの筆記試験を行い、二次試験として面接試験を行う場合が多いです。
正社員としての就職を急いでいない場合は、契約職員や非常勤職員として入職し、常勤職員登用試験を受験するのも一つの手でしょう。
ただし、常勤職員登用試験制度があるかどうか、大学への入職時に必ず確認しておきましょう。
ハローワークや大学のホームページ、転職サイトなどで求人が掲載されます。筆記試験はなく、面接試験のみで選考されます。給与は時給制のことが多く、常勤職員と比べると低いと言えます。
2. 国立大学法人等職員統一採用試験の詳細【募集要項・難易度・資格・おすすめな人】
まずは、国立大学職員になる最も一般的な方法である、①「国立大学法人等職員採用試験」から見ていきましょう。
どのような試験であるか、令和3年度募集要項を一緒に確認していきます。
令和4年度以降は日程等が変更になる可能性もありますので、受験を考えている方は必ず各自で最新の募集要項を確認してくださいね。
2-1. 「日程」は全地区同じ(第一次試験まで)
令和3年度の国立大学法人等職員統一採用試験の日程を見てみましょう。
受付期間:令和3年5月12日(水)~5月26日(水) ※インターネット出願のみ
第一次試験:7月4日(日)
第一次試験合格者発表日:7月21日(水)9時30分
第二次試験:受験申込時に選択した採用希望地区の各国立大学法人等で行います
最終合格者発表:面接考査等の後、随時、各国立大学法人等から通知します
第一次試験合格発表までは、地区による日程の違いはありません。
第二次試験以降は各国立大学法人で面接等を行うため、最終合格者の発表日は各大学によって異なります。
第一次試験合格者発表日から、おおよそ1~2か月以内には最終合格者が発表されると考えておいて良いでしょう。
2-2. 「受験資格」は年齢制限のみ
次は、受験資格について例を見てみましょう。
平成3年4月2日以降に生まれた者
年度末年齢で30歳以下という条件のみで、「大卒以上」「卒業から〇年以内」「社会人経験〇年以上」といった制限は一切ありません。
幅広い人に受験資格があるというのは、受験者側からすればありがたいですよね。
2-3. 「試験内容」は筆記試験と面接試験
試験内容は、毎年ほぼこのような形式で行われます。
第一次試験 教養試験(120分)、40題全問必須解答
日本語による出題となります。
多肢選択式による筆記試験(大学卒業程度)
一般知識20問(社会(7問)、人文(7問)及び自然(6問))
一般知能20問(文章理解(7問)、判断推理(8問)、数的推理及び資料解釈(5問))
第二次試験 面接考査等
各国立大学法人等で第一次試験合格者に対して個別に実施します。
一般的な公務員試験と異なり民法や経済学といった専門試験がなく、教養試験のみとなります。
もともとの学力にもよりますが、大学生・大卒の方なら半年程度勉強すれば合格できる可能性は高いと言えます。
また、二次試験では集団面接もしくはグループディスカッションを1回行い、最終面接として個人面接を行う大学が多いようです。
2-4. 一次試験の「難易度」は高くないが、二次試験はそれなりの倍率
試験内容について分かったところで、一次試験と二次試験の難易度を見ていきましょう。
2-4-1. 一次試験
教養だけとはいえ、筆記試験のある国立大学職員試験。
試験の難易度や倍率は気になるところですよね。
実は、筆記試験の例題や倍率については各地区の採用事務室ホームページで公開されています。(見ることのできる例題はどの地区でも同じです)
また、令和3年度の各地区ごとの倍率について、ホームページで公表されている数字を以下の表にまとめてみました。
関東甲信越地区や近畿地区といった都市部が高倍率である一方で、北海道地区や中国・四国地区といった地方が低倍率であることがわかります。
東北地区、関東甲信越地区、近畿地区については申込者数に加えて受験者数を公表しています。
例えば、関東・甲信越地区では、申込者ベースで見ると倍率は4.6倍ですが、実際に受験した人で換算すると約3倍となっています。つまり、申し込みだけして受験しない人も多いということです。
また、北海道地区や中国・四国地区については受験者数は公表していませんが、公表している地区の中で最も高い、東北地区の受験率79%(受験者数/申込者数)を用いて実際の倍率を予想してみましょう。
【北海道地区】
921人 × 79% ÷ 394人 ≒ 1.8倍
【中国・四国地区】
2,587人 × 79% ÷ 1,073人 ≒ 1.9倍
上記の地区を見てみると、受験者の2人に1人は合格する計算になりますね。
このように、受験者ベースで見た実際の倍率は実はそれほど高くありません。
さらに、筆記試験は教養科目だけで受験できるため、受験生の中には、ほぼ勉強をしていない記念受験の方も多いです。
受験する地区にもよりますが、例題を見て難しそうだと思った人でも、十分に対策を練って勉強すれば、一次試験に合格することはそれほど難しいことではありません。
2-4-2. 二次試験
各大学の採用予定者数は、試験前に公開されています。
以下は、令和3年度の第一次試験合格者数に対する、各地区の採用予定数(国立高等専門学校機構や大学共同利用機関を含む)を表にしたものです。
一次試験の倍率と比較すると、各地区ともにかなり高いように思えますね。
ここで考慮すべきことは、「国立大学職員試験の受験者には公務員試験の併願者が一定数いる」ということです。
市役所職員等の試験は国立大学職員試験よりも日程が後であるため、練習や滑り止めの気持ちで受ける人も多いのです。
彼らは公務員の内定が出ると、ほとんどの場合、国立大学職員の内定を辞退します。
私が採用されたときも、公務員を併願していた内定者が何人か辞退していきました。
大学側もそれをわかっており、各大学は採用予定者数よりも多めに内定を出すため、数字ほどには厳しい戦いにはなりません。
また、出身大学かどうかは合否に関係ないので、気兼ねなく出願しましょう。
2-5. 「資格」は不要
試験を受けるにあたって、特に資格が必要ということはありません。
30歳以下なら、だれでも試験を受けることができます。
もし、入職後に希望する部署がある場合は、関連する資格を取っておいたほうが希望の部署に配属される確率が上がるかもしれません。
例えば、留学生の支援をしたい場合は英検やTOEICを、財務や経理の仕事をしたい場合は簿記の資格を取得しておくと良いでしょう。
なお、英検1級や簿記1級など、よほど難易度の高い資格でない限り、合否に影響することはほとんどありません。
2-6. こんな人におすすめ
国立大学職員になるには、「国立大学法人等職員統一採用試験」を受けるのが一般的であることを説明してきました。難易度や資格が不要なことなどを踏まえると、以下のような人におすすめな試験です。
受験の参考にしてみてくださいね。
新卒者・第二新卒者
3つの中で最も採用人数の多い試験であり、社会人経験も必要ないため、新卒者・第二新卒者に特におすすめです。
筆記試験の勉強時間が確保できる社会人
一次試験の難易度は高くないとはいえ、ある程度の勉強時間を確保する必要があります。時間の確保が難しい人は、個別採用試験の受験を検討しましょう。
いろいろな国立大学を幅広く受験したい人
一次試験に合格すれば、その地区内の国立大学等を幅広く受験することができるので、どの国立大学を受験するか迷っていても大丈夫です。一次試験合格後に各国立大学で開かれる説明会に参加し、ゆっくり決めましょう。
▼勉強方法についての記事はこちら
3. 各国立大学法人が行う個別採用試験の詳細【募集要項・難易度・資格・おすすめな人】
次に、②各国立大学法人が行う「個別採用試験」について詳しく見ていきましょう。
3-1. 募集要項(東京医科歯科大学の例)
募集要項は各大学により様々です。
例として、以下は東京医科歯科大学が令和3年11月に行った求人の募集要項です。
【採用予定人数】 若干名
【応募条件】
◆29歳以下の方(1993年4月2日以降に生まれた者)
◆短大・専門卒以上の方(2022年3月卒業見込みを含む)
【こんな方をお待ちしています!】
◎コミュニケーション力があり、チームワークを大切にできる方
◎英語力に長けた方(TOEIC700点以上が望ましい)
◎向上心を持ち、自発的にスキルアップを目指して行ける方
◎教育・研究・医療に関わる仕事に意欲的に取り組める方
【採用プロセス】
STEP1 書類選考
STEP2 1次面接
STEP3 最終面接
STEP4 入職
引用:マイナビ転職
年齢制限が職員統一採用試験と比べて29歳以下と厳しくなっているものの、筆記試験が免除になっています。
また、資格や社会人経験も問いません。
その代わり、短大・専門卒以上という学歴条件が付されていたり、TOEIC700点以上が望ましいとするなど、一定の学力レベルは確保しようとしています。
書類選考と面接だけで国立大学職員になれるチャンスがあるので、民間企業と同じような感覚で受けてみるのも良さそうですね。
3-2. 「難易度」は高め
各大学が個別で試験を行う場合は、採用予定人数が1~2名程度であることがほとんどです。
また、筆記試験が課されないこと、年齢制限が緩和される場合があることから、かなり競争率の高い試験となることが予想されます。
実際に、転職サイトなどに国立大学職員の求人が掲載されると、ほとんどの場合「人気の求人」としてカテゴライズされます。
志望動機や自己PRなどは十分に練ってから面接に望むようにしましょう。
3-3. 「資格」はあった方が有利な場合も(山口大学の例)
事務職員であれば、専門的な資格が求められることはほとんどありません。
ただし、施設系などの技術職員の求人については、資格が求められることがあります。
以下は、山口大学が令和3年12月に出した施設系技術職員求人の応募資格です。
【応 募 資 格】 下記の(1)~(3)のいずれかの条件に該当する者
(1)工業高等学校,工業高等専門学校またはこれと同等以上の教育機関において,建築分野に関する学科を修めて卒業した者。
(2)次のいずれかの資格を有する者。 一級・二級建築士,技術士(建築部門),一級・二級建築施工管理技士
(3)次のいずれかの業務に関する実務経験が3年以上の者。 建築施工管理,建築設計業務,建物に関する修繕等の保全業務
資格の保有は必須ではありませんが、例えば(1)だけを満たす人よりも(1)と(2)の両方を満たす人の方が採用側としては魅力的ですよね。
専門的な資格を持っている方は、積極的に個別試験での受験を考えましょう。
3-4. こんな人におすすめ
各国立大学法人が行う個別採用試験は、次のような人におすすめだと言えます。
年齢制限により国立大学法人等職員統一採用試験の受験資格がない人
求人によっては35歳程度まで応募可能であったり、年齢制限がないものもあります。
筆記試験が苦手な人
通常、筆記試験は課されないため、勉強に費やす時間を面接対策に充てることができます。
アピールできる資格や社会人経験がある人
大学側が有資格者や即戦力を求めている場合、有利になります。
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4. 勤務する大学の常勤職員登用試験の詳細【日程・受験資格・試験内容・難易度・資格・おすすめな人】
最後は、③勤務する大学の「常勤職員登用試験」を受ける方法です。
受験資格に該当する方は少ないと思いますが、こちらの方法も見ていきましょう。
4-1. 募集要項(横浜国立大学の例)
常勤職員登用試験の募集要項については、通常は大学内限定で公開されますが、横浜国立大学で珍しく一般公開されていたので見ていきます。
【採用予定数】若干名 【受験資格】
次の(1)、(2)のどちらかの要件及び(3)の要件を満たす者
(1)令和3年8月1日時点で、本学に特任職員、代替教職員及び非常勤職員として引き続き1年以上在職している者(ティーチング・アシスタント、リサーチ・アシスタント、スチューデント・アシスタント、学生スタッフ、短期間勤務職員及び派遣労働者としての期間は除く)
(2)令和3年7月31日以前に退職している者(令和3年7月31日以前に退職した後、再度採用され、令和3年8月1日時点で在職しているが、(1)の要件を満たさない者を含む。)のうち、平成31年4月1日から令和3年7月31日までの間に、特任職員、代替教職員及び非常勤職員として本学に引き続き1年以上在職していた者(ティーチング・アシスタント、リサーチ・アシスタント、スチューデント・アシスタント、学生スタッフ、短期間勤務職員及び派遣労働者としての期間は除く)
(3)昭和37年4月2日以降に生まれた者(令和3年度末年齢が60歳未満の者(定年60歳))
【試験の方法及び内容】
第一次試験【全試験区分】教養試験〈120分〉
①時事、社会・人文に関する一般知識を問う問題(13題)
②文章理解、判断・数的推理、資料解釈に関する能力を問う問題(27題)
出題数40題(大学卒業程度・5肢択一式)
第二次試験【全試験区分】面接考査第一次試験合格者を対象に実施します。
直近3年以内に横浜国立大学に1年以上在職しており、定年未満の人であれば誰でも受験できます。
また、「過去に受験して不合格になった人は受けられない」などの制限もないため、例え今回が不合格だったとしても、募集がある限りは何度でもチャレンジすることができます。
4-2. 「難易度」は高めだがチャンスは多い
試験問題のレベルは「大学卒業程度」となっているため、問題の難易度は国立大学法人等職員統一採用試験と変わらないと予想されます。
また、横浜国立大学の令和2年度事業報告書によると、同大学の非常勤職員は398人となっています。
このうち約20%の80人が受験するとし、2名を採用するとなると、倍率は40倍となります。
かなり倍率の高い試験となりますが、年齢制限もなく、国立大学に勤めている限りは毎年チャレンジできるため、挑戦する価値はあると言えます。
4-3. 「資格」は不要
資格は特に必要ありませんが、基本的に異動のない非常勤職員と違い、合格後はさまざまな部署に配属される可能性があります。
国立大学法人等職員採用試験の場合と同様に、希望する部署がある場合は関連する資格を取っておいたほうが良いでしょう。
4-4. こんな人におすすめ
勤務する大学の常勤職員登用試験は、次のような人におすすめだと言えます。
まずは契約職員や非常勤職員としての雇用でも問題ない人
契約職員や非常勤職員としての雇用でも問題ない人におすすめです。
例えば、子どもが大きくなるまでは時間の融通のきく非常勤職員として働き、子どもが大きくなったら常勤職員として働くことを視野に入れたい人にはおすすめです。ただし、非常勤職員の給与は時給制であり、常勤職員と比べるとかなり低いことに注意しましょう。
実際に働いて職場の雰囲気を確認してから、常勤職員になりたい人
せっかく常勤職員として採用されても、人間関係や働き方が合わずにすぐに退職してしまうと職歴に傷がつきますよね。まずは契約職員や非常勤職員として働いてみることで、そのようなリスクを抑えることができます。ただし、前述のように常勤職員となった場合は異動があることと、部署によって人間関係や雰囲気は異なることは注意しましょう。
5. 国立大学職員を目指すときに注意すべき点3つ
国立大学職員になるには、3種類の試験があり、それぞれの試験の特徴などを解説してきました。試験について理解できたところで、試験を受ける前に注意して欲しい点を3点紹介します。
- 本当に国立大学職員になりたいのかよく考える
- いつまでに就職したいのか、期限を明確にする
- 志望大学についてリサーチする
大学職員に自分が向いているのかどうか知りたい場合は、以下の記事も参考にしてみてください
5-1. 本当に国立大学職員になりたいのかよく考える
ハッキリ言って、国立大学職員の仕事はつぶしのきかない仕事です。理由は以下の2つです。
- PC作業や学内の調整業務が多く、特別なスキルが身につきにくい
- 通常2~3年で異動があるため、「スペシャリスト」にはなりにくい
大学職員の仕事は、パソコンを使ったルーティンワークや会議のスケジュール調整など、言ってしまえば「誰にでもできる仕事」が多いです。
また、経理などの専門性が高い部署に在籍したとしても、知識が身についたころに異動があるため、専門性を身に着けることができません。
そのため、国立大学職員からの転職や独立は困難であると言えます。
また、筆記試験を受験する場合はお金も時間もかかります。
せっかく国立大学職員として就職したのに、自分に合わないからといってすぐに辞めてしまった場合、勉強に費やしたお金や時間がもったいないですよね。
自分は将来どのようなキャリアを描きたいのか、国立大学職員という仕事は自分に合っているのかといったようなことを総合的に判断し、受験するかどうかを決めましょう。
5-2. いつまでに就職したいのか、期限を明確にする
前述したように、筆記試験の難易度はそれほど高くないため、勉強に何年も費やす必要はありません。
職員統一採用試験には年齢制限もあるため、ダラダラと長い期間かけて勉強するよりも、短期間で集中して勉強するほうが良いでしょう。
独学で勉強が続かない人は、各資格スクールの利用や通信講座等の受講を検討してみましょう。
5-3. 志望大学についてリサーチする
志望大学についてリサーチすることで、自分が国立大学職員としてその大学で働くことがイメージできます。
自分がその大学で働くイメージが十分に出来ていないと、入職後に理想と現実のギャップが生じ、転職や早期退職といった結果になってしまうリスクがあります。
また、志望大学で働くイメージを持つことは、志望動機を考えるときにも役立ちます。
具体的には、以下の方法がおすすめです。
5-3-1. 志望大学の学生向けパンフレットや財務報告書(統合報告書)をチェックする
学生向けパンフレットは教育活動のトピックが中心ですが、高校生や保護者に向けて作成されているため、非常に読みやすいものとなっています。
まずは学生向けパンフレットに目を通し、志望大学の概要を把握しましょう。
もう少し踏み込んだことを知りたい場合は、各大学が作成している財務報告書をチェックするのがおすすめです。(最近は東京大学をはじめ、「統合報告書」として発行する大学も増えています)
教育活動以外の大学がアピールしたい実績についてまとめられており、財務状況などについても分かりやすく説明してくれているため、志望大学についてより深く知ることができます。
5-3-2. 志望大学に足を運んでみる
志望大学が近くにある場合は、ぜひ一度キャンパスまで足を運んでみましょう。
事務室にまで入るのは難しいですが、食堂や図書館など一般開放されている施設も多いため、働いている教職員の雰囲気を知ることができます。
志望大学で筆記試験を受ける場合は、受験会場の下見も兼ねることができます。
6. まとめ
国立大学職員になるには3つの方法があります。
①国立大学法人等職員統一採用試験
- 筆記と面接のどちらの対策も必要
- 筆記試験の倍率はそれほど高くない
- 年齢制限がある(30歳まで)
- 資格は必要なし
- 新卒者・第二新卒者
- 筆記試験の勉強時間が確保できる社会人
- いろいろな国立大学を幅広く受験したい人
②各国立大学が行う個別採用試験
- 筆記試験は課されない(書類審査と面接のみ)
- 倍率は高め
- 年齢制限が緩和・撤廃されることもある
- 資格は必要ないが、あれば有利な場合も
- 年齢制限により国立大学法人等職員統一採用試験の受験資格がない人
- 筆記試験が苦手な人
- アピールできる資格や社会人経験がある人
③勤務する大学の常勤職員登用試験
- 筆記試験と面接試験がある
- 倍率は高いが、募集があれば何度でも受けられる
- 年齢制限はない場合が多い
- 資格は必要なし
- まずは契約職員や非常勤職員としての雇用でも問題ない人
- 実際に働いて職場の雰囲気を確認してから、常勤職員になりたい人
国立大学職員を目指すときには、以下の3つの点に注意しましょう。
- 本当に国立大学職員になりたいのかよく考える
国立大学職員はつぶしのきかない仕事。筆記試験対策に費やしたお金や時間を無駄にしないためにも、よく考えて受験しましょう。
- いつまでに就職したいのか、期限を明確にする
筆記試験対策は短期集中で。独学で勉強が続かない人は、各資格スクールの利用や通信講座等の受講を検討。
- 志望大学についてリサーチする
入職後にギャップを生じさせないためにも、志望動機を考えるためにも、志望大学についてリサーチすることは大切。
上記の国立大学職員になるための3つの方法を元に、自分にはどの試験が合っているか、じっくり考えてみてくださいね。
そして、国立大学職員を目指すと決めたときには、上記の3つの注意点も参考にしてみてください。
あなたが国立大学職員という仕事に少しでも興味を持ったとき、この記事が役に立つことを心より願っています。